PRACTICAL GUIDE
SUS配管の溶接・酸洗い・不動態化の基本
ステンレス配管は『溶接できた』だけでは完了しません。酸化スケール、焼け、鉄粉付着を確認し、用途と仕様に合った仕上げを行います。
執筆・確認:配管・水処理設備の施工管理実務者 | 最終更新:2026年9月22日
ステンレスが耐食性を保つ仕組み
ステンレス表面は、クロムを含む薄い不動態皮膜によって耐食性を保ちます。溶接時に強い酸化スケールが生じると、その部分では健全な皮膜が形成されにくくなるため、ガスシールドと溶接後の処理が重要です。
溶接前に確認すること
- 母材に合う溶接材料、溶接方法、入熱条件
- 開先、ルート間隔、目違い、仮付け位置
- 油、汚れ、水分、鉄粉を除去できているか
- ステンレス専用のブラシ・砥石・治具を使うか
- 管内面のバックシールド方法とガス置換の確認
炭素鋼用工具との共用に注意
鉄粉が付着すると、もらいさびの原因になります。ブラシ、砥石、作業台、吊り具の接触面まで区分します。
溶接焼けとバックシールド
管内面が空気に触れたまま高温になると、強い酸化と凹凸のあるスケールが生じます。バックシールドは管内へ不活性ガスを流し、酸素濃度を下げて内面の酸化を抑える作業です。流量を上げすぎると溶融池へ影響するため、施工要領と溶接条件に従います。
酸洗いと不動態化の違い
| 処理 | 主な目的 | 確認点 |
|---|---|---|
| 機械的除去 | ブラシ・研磨で変色や付着物を除去 | 傷、粗さ、鉄粉混入 |
| 酸洗い | 酸化スケールや表面汚染を除去 | 薬品、時間、温度、洗浄 |
| 不動態化 | 清浄な表面で不動態皮膜の形成を促す | 用途、指定薬品、最終洗浄 |
酸洗いと不動態化は同じ意味で使われることがありますが、目的を分けて仕様を確認します。薬品処理後に残留薬品が残らないよう十分に水洗し、排液は現場のルールと法令に従って処理します。
仕上げ後の確認
- 内外面の焼け、スケール、ピット、アンダーカット
- 酸洗いむら、薬品残り、洗浄水の排出
- 鉄粉付着やもらいさびの有無
- 浸透探傷・放射線透過など指定検査の結果
- 食品・薬品・純水など用途別の清浄度条件
見積で分ける項目溶接DB/バックシールド/酸洗い範囲/検査率/洗浄・排液処理/記録作成
参考資料
ステンレス協会:ステンレス溶接の施工方法とその後の手入れでは、ガスシールと溶接後の酸化皮膜除去の重要性が解説されています。最終的な施工方法は設計仕様書、溶接施工要領書、使用薬品の安全データシートを優先してください。
ボルトの施工トラブルはSUSボルトの焼き付き、見積区分は工場溶接と現場溶接もあわせて確認してください。
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