WATER TREATMENT GUIDE
沈殿槽の上澄みが濁る原因|症状別の確認手順と対策
沈殿槽の濁りは、汚泥が沈まない場合だけでなく、沈んだ汚泥の再浮上、微細フロックの流出、越流の偏りでも起こります。まず見た目と発生場所から原因を絞ります。
執筆・確認:水処理プラント・配管設備の施工管理実務者 | 最終更新:2026年9月28日
最初の5分で見るポイント
- 濁りが槽全面か、一部の越流部だけか
- 流出物が細かな粒子か、大きな汚泥塊か
- 汚泥界面が通常より高いか
- 浮上汚泥に細かな気泡が付いているか
- 越流堰の水量、スカム、偏流に異常がないか
採水瓶に処理水を取り、沈む粒子か、沈まず残る微粒子かも確認します。見た目を写真と時刻付きで残すと、運転データと照合しやすくなります。
症状から原因を切り分ける
| 見え方 | 疑う状態 | 次の確認 |
|---|---|---|
| 細かな粒子で白っぽく濁る | 微細フロック、分散成長 | 上澄み、DO、負荷、pH、顕微鏡 |
| 汚泥塊が越流する | 界面上昇、固形物負荷過大 | 界面、MLSS、返送・引き抜き量 |
| 気泡付き汚泥が浮く | 沈殿槽内の脱窒 | 硝酸態窒素、滞留時間、返送状態 |
| 沈降が遅く全体が膨らむ | バルキング | SVI、DO、F/M、水温、顕微鏡 |
| 一部の越流部だけ濁る | 偏流、堰の不均一、設備異常 | 越流水量、堰、掻寄機、流入部 |
原因1:微細フロックが流出している
汚泥が細かく分散し、沈みきらずに越流する状態です。低負荷、過曝気、急な水質変化、阻害物質、栄養バランス、フロック形成不良などを確認します。SV30が低くても上澄みが濁るなら、良好に沈んだとは限りません。
原因2:汚泥界面が高い
返送不足、余剰汚泥の引き抜き不足、流入量増加、MLSS上昇、沈降性悪化などで汚泥が蓄積すると、処理水側へ流出しやすくなります。界面を複数箇所で測り、偏りも確認します。
原因3:沈んだ汚泥が浮上している
沈殿槽内で脱窒が進むと、窒素ガスが汚泥を持ち上げることがあります。浮上物への細かな気泡付着、硝酸態窒素、汚泥滞留時間、返送状態を確認します。詳しくは硝化と脱窒の解説を参照してください。
原因4:バルキングで沈降性が悪い
SV30の沈降過程とSVIの推移を確認します。MLSSが平常でもSV30・SVIが上昇し、界面がぼやける場合は沈降性悪化を疑います。一度の数値だけで断定せず、DO、負荷、水温、pH、顕微鏡観察を合わせます。
現場で確認する順番
- 濁り方、発生場所、浮遊物の外観を記録
- 汚泥界面を複数箇所で測定
- SV30の沈降過程と上澄みを観察
- MLSSとSVIを計算し、平常時と比較
- DO、pH、水温、流入量・負荷の変化を確認
- 返送汚泥量、余剰汚泥量、設備運転を確認
- 処理水SSとアンモニア・硝酸の推移を照合
関連:MLSSの確認手順・DOが上がらない原因・SRTとHRT
操作変更時の注意
濁りの原因によって、返送量や余剰汚泥量の操作方向は異なります。急な大幅変更を避け、変更時刻と操作量を記録し、界面・処理水SS・SV30の反応を確認してください。
よくある質問
上澄みが濁ったら、まず何を確認しますか?
濁りが全面か局所か、浮遊物が細かいか塊か、汚泥界面が高いかを確認します。その後にSV30・SVI、MLSS、DO、返送量を照合します。
沈んだ汚泥が再び浮くのはなぜですか?
沈殿槽内で脱窒が進み、窒素ガスが汚泥を持ち上げる場合があります。浮上汚泥への細かな気泡付着と滞留時間を確認します。
返送汚泥量を増やせば濁りは直りますか?
界面上昇には有効な場合がありますが、流速や水理条件を悪化させる場合もあります。原因と設備の設計範囲を確認して段階的に調整します。
管理値や操作条件は施設ごとに異なります。実際の運転操作は、設計条件・維持管理基準・測定結果・責任者の判断を優先してください。