WATER TREATMENT GUIDE
曝気槽のDOが上がらない原因|ブロワ・散気装置・負荷の確認手順
ブロワを強くしてもDOが上がらないときは、計器・空気供給・酸素移動・酸素消費のどこに原因があるかを順番に切り分けます。むやみに風量を上げる前に、現場で確認する項目を整理します。
執筆・確認:水処理プラント・配管設備の施工管理実務者 | 最終更新:2026年9月28日
開放槽周辺での転落、回転機器、感電、騒音、酸欠に注意してください。槽内・ピット・マンホールへの立入りは、酸素濃度測定や監視人配置など、施設の安全手順に従います。
DOが上がらない4つの原因区分
DO計が実際より低く表示している
2.空気供給の問題ブロワから必要な空気量が届いていない
3.酸素移動の問題空気は出ているが水へ酸素が溶けにくい
4.酸素消費の増加有機物やアンモニアなどの負荷が増えている
DOは「水へ供給される酸素」と「微生物などが消費する酸素」の差で変化します。供給設備だけでなく、流入負荷の変化も同時に確認します。
症状から考える主な原因
| 現場の症状 | 優先して確認する項目 |
|---|---|
| すべての槽でDOが低い | DO計、ブロワ運転台数、吸込フィルター、流入負荷 |
| 特定の区画だけ低い | 系統バルブ、配管詰まり、漏気、散気装置、測定位置 |
| 吐出圧力が高くなった | バルブ開度、配管・散気装置の閉塞、水位 |
| 吐出圧力が低くなった | 漏気、ベルト、逆止弁、ブロワ能力、開放バルブ |
| 粗大気泡や偏りがある | 散気装置の破損・閉塞、配管の傾き、ドレン |
| 雨天・生産増加後に低下 | 流量、BOD負荷、アンモニア負荷、返流水 |
| 夜間だけ低下する | 時間別負荷、ブロワ制御、間欠運転、返流水の時間 |
1.DO計が正しいか確認する
最初に、本当にDOが低いかを確認します。センサーの汚れ、気泡の付着、校正ずれ、消耗部品、設置位置、流れの偏りを確認します。可能なら携帯計や別系列の計器と比較します。
- センサーを清掃し、校正履歴と消耗品の交換時期を見る
- 気泡が直接当たる場所、槽壁付近、流入直後だけを測っていないか確認する
- 表層・中層・末端など複数点を同じ時間帯に比較する
- 温度補償や測定単位の設定を確認する
2.ブロワの能力と運転状態を確認する
運転表示だけで判断せず、運転台数、周波数、電流、吐出圧力、吸込状態、異音・振動・温度を確認します。予備機へ切り替えられる場合は、同じ条件で圧力やDOの変化を比較すると切り分けやすくなります。
- 吸込フィルターの差圧・汚れ
- ベルトの緩み、カップリング、逆止弁、放風弁
- インバーター周波数と実際の電流値
- 吐出圧力の過去値との差
- 水位上昇による必要圧力の増加
3.空気配管とバルブを確認する
主配管の圧力が正常でも、枝管のバルブ開度、配管の漏れ、ドレン溜まり、閉塞で特定区画だけ風量が不足します。系列ごとの圧力・バルブ開度・気泡分布を記録し、正常系列と比較します。
1か所を大きく開くと、別系列の風量が減る場合があります。変更前の開度を記録し、少しずつ調整して槽全体のDOを確認します。
4.散気装置と気泡分布を確認する
気泡が出ていても、粗大化・偏流・部分閉塞があると酸素移動効率が低下します。以前の正常時と比較し、気泡が出ない範囲、局所的な激しい発泡、粗大気泡、配管の脈動を確認します。
- 閉塞:圧力が上昇し、気泡量が減る傾向
- 破損:局所的な粗大気泡や圧力低下が出る場合がある
- 汚れ・スケール:徐々に必要圧力が上がる場合がある
- 偏流:槽内の一部に汚泥が滞留し、DO分布が不均一になる
5.酸素消費量が増えていないか確認する
設備が正常でも、流入BOD、アンモニア性窒素、流量、MLSS、返流水が増えると酸素消費量が増加します。日平均値だけでなく、DOが低下した時間帯の流入条件を確認します。
流量(m³/日)× BOD(mg/L)÷ 1,000
例えば流量500m³/日で、流入BODが150mg/Lから250mg/Lへ上昇すると、BOD負荷量は75kg/日から125kg/日となり、50kg/日増えます。風量設定が同じならDOが低下する可能性があります。
BOD・COD・SSの違いと硝化・脱窒の確認ポイントも合わせて確認してください。
6.MLSSと汚泥状態を確認する
MLSSが上昇すると槽内の酸素消費と撹拌に必要な空気量が増える場合があります。一方、MLSS不足や短すぎるSRTは硝化不良につながります。DOだけを見て余剰汚泥量を変更せず、処理水質と沈降性を合わせて判断します。
関連記事:MLSSの見方 / SRTとHRTの計算方法
現場での確認手順
- 携帯計・別測定点でDO計の値を確認する
- ブロワの台数、周波数、電流、圧力を記録する
- 配管、バルブ、漏気、ドレンを確認する
- 各区画の気泡分布と散気状態を比較する
- 流量、BOD、アンモニア性窒素の時間変化を見る
- MLSS、SV30、SVI、汚泥界面を確認する
- 変更は一度に1項目とし、操作前後の数値を残す
風量を増やす前に注意すること
原因を確認せず風量だけを増やすと、電力消費、汚泥フロックのせん断、発泡、沈殿性悪化につながる場合があります。設備の上限、槽内の撹拌状態、処理水質を確認しながら段階的に調整します。
よくある質問
曝気槽のDOは何mg/Lあればよいですか?
一律の正解はありません。処理方式、負荷、水温、硝化の有無、槽内の測定位置で必要値が変わります。施設の設計値・維持管理基準を優先し、処理水質とアンモニア性窒素の推移を合わせて判断します。
ブロワの風量を上げてもDOが上がらないのはなぜですか?
DO計の異常、吸込フィルターや配管の詰まり、漏気、散気装置の閉塞、気泡の偏り、流入負荷やアンモニア負荷の増加などが考えられます。風量設定だけでなく、吐出圧力と槽内の気泡分布を確認します。
ブロワ吐出圧力が以前より高い場合は何を疑いますか?
バルブの閉止・絞り過ぎ、配管や散気装置の閉塞、水深や水位の変化などを疑います。圧力だけで断定せず、系列ごとのバルブ開度と気泡の出方を比較します。
夜間だけDOが低下する場合の確認点は?
時間帯別の流入量・BOD・アンモニア性窒素、間欠運転や台数制御、返流水のタイミングを確認します。DOの連続記録と設備の運転履歴を同じ時刻で比較すると切り分けやすくなります。
まとめ
DOが上がらないときは「計器→ブロワ→配管・バルブ→散気装置→流入負荷→汚泥状態」の順で確認します。設備の供給不足と、負荷増加による酸素消費を分けて考え、操作前後の記録を残すことが再発防止につながります。
管理値や操作条件は施設ごとに異なります。実際の運転操作は、設計条件・維持管理基準・測定結果・責任者の判断を優先してください。