WATER TREATMENT GUIDE
MLSSとは?測定値の見方と高い・低い場合の確認手順
MLSSは曝気槽内の固形物濃度を表す基本指標です。高い・低いだけで良否を決めず、SV30・SVI・DO・SRTと組み合わせて原因を切り分けます。
執筆・確認:水処理プラント・配管設備の施工管理実務者 | 最終更新:2026年9月28日
MLSSとは
MLSS(Mixed Liquor Suspended Solids)は、曝気槽の混合液に含まれる浮遊物質の濃度です。単位はmg/Lで、1,000mg/Lは1g/L、数値上は1kg/m³と同じです。活性汚泥法では、微生物を含む汚泥が槽内にどの程度保持されているかを把握する目安にします。
ただし、MLSSには無機物や不活性な固形物も含まれます。MLSSの全量が処理に働く微生物という意味ではありません。
槽内にある汚泥量の計算例
曝気槽容量500m³、MLSS 3,000mg/L(3kg/m³)の場合、槽内固形物量は次のように概算できます。
500m³ × 3kg/m³ = 1,500kg
この在槽量と余剰汚泥として系外へ出す固形物量は、SRTを考える基礎になります。濃度だけでなく槽容量も含めて捉えることが大切です。
MLSSが高いときの確認順
- 測定場所・採水時刻・分析操作に変化がないか
- 余剰汚泥の引き抜き量と濃度、停止履歴
- 返送汚泥量と返送汚泥濃度
- DO、曝気量、アンモニア、処理水質の推移
- SV30・SVIと沈殿槽の汚泥界面
MLSSが高いと酸素消費量と沈殿槽への固形物負荷が増えます。DO低下、汚泥界面上昇、処理水への汚泥流出が同時に起きていないか確認します。
MLSSが低いときの確認順
- 余剰汚泥を引き抜き過ぎていないか
- 沈殿槽から汚泥が流出していないか
- 返送ポンプ、配管、弁、返送量
- 流入水量の増加や希釈、負荷低下
- 阻害物質、pH、DO、急な負荷変動
生物量が不足すると有機物除去や硝化が不安定になる可能性があります。急な操作変更は避け、流入負荷と処理水質の推移を見ながら判断します。
MLSS・SV30・SVIの組み合わせで見る
| 測定結果 | 考え方 | 次に見る項目 |
|---|---|---|
| MLSS高・SV30高・SVIは平常範囲 | 汚泥量そのものが多い可能性 | 余剰汚泥、SRT、汚泥界面 |
| MLSS平常・SV30高・SVI高 | 沈降性悪化やバルキングを疑う | DO、負荷、顕微鏡、上澄み |
| MLSS低・SV30低・SVIは平常範囲 | 生物量不足や希釈の可能性 | 引き抜き、汚泥流出、流入量 |
詳しい測り方はSV30の解説、沈降性の計算はSVIの解説を参照してください。
採水と記録でそろえる条件
採水位置、時刻、曝気や撹拌の状態、分析方法をそろえます。日々の値は単発で判断せず、流入量、BOD・COD、返送量、余剰汚泥量、DO、SV30と同じ時系列で記録します。
よくある質問
MLSSの適正値は何mg/Lですか?
処理方式、流入負荷、槽容量、必要SRTなどで変わるため一律には決められません。設計値と施設の安定運転時の範囲を基準にします。
MLSSが高ければ処理能力も上がりますか?
必ずしも上がりません。酸素不足や沈殿槽への固形物負荷増加を招き、処理水悪化につながる場合があります。
MLSSと活性のある微生物量は同じですか?
同じではありません。MLSSには生物以外の無機物や不活性な固形物も含まれます。必要に応じてMLVSSや顕微鏡観察も併用します。
管理値や操作条件は施設ごとに異なります。実際の運転操作は、設計条件・維持管理基準・測定結果・責任者の判断を優先してください。