PRACTICAL GUIDE
IM・DBを使った配管見積
配管長に比例する作業と、溶接口数に比例する作業を分けると、数量変更にも対応しやすい見積になります。IM・DBの計算から単価条件、別途項目まで実務の組み立て方を解説します。
執筆・確認:配管・水処理設備の施工管理実務者 | 最終確認:2026年10月5日
IMとDBを分けて考える
インチメーター(IM)は呼び径のインチ数×配管長、インチダイヤ(DB)は呼び径のインチ数×溶接口数です。長い直管はIMが増え、継手が多い複雑な配管はDBが増えます。両方を分けて数量化することで、配管ルートの特徴を見積へ反映しやすくなります。
概算金額の計算例
総IMが120、総DBが80、仮のIM単価が3,000円、DB単価が5,000円の場合を考えます。
合計は税抜760,000円です。ただし、この金額は単価に含む範囲が決まって初めて意味を持ちます。IM・DB自体は数量指標であり、材料費や足場費が自動的に含まれるわけではありません。
単価を分ける主な条件
- 材質:SGP、STPG、SUS、ライニング管など
- 肉厚:Schや厚肉による切断・開先・溶接工数の違い
- 施工場所:工場製作、地上取付、高所、狭所、既設設備内
- 接合方法:突合せ溶接、差込み溶接、ねじ込み、フランジ接続
- 品質管理:酸洗い、不動態化、非破壊検査、耐圧・気密試験
- 工程条件:夜間、休日、設備停止時間、火気使用制限
例えば、SGPの工場製作とSUSの高所現場溶接を同じ単価にすると、実際の工数差が見えません。最低でも材質、工場/現場、作業条件の3軸で明細を分けます。
IM・DBだけでは拾えない費用
配管工事には、数量に比例しにくい固定費や周辺工事があります。材料費、支持金物、足場、揚重、保温、塗装、検査、交通・宿泊、現場管理、安全設備、廃材処分などは別途項目として積み上げます。
工事範囲を5つに分ける
私は見積範囲を、材料調達、工場加工、運搬、現場取付、試験・仕上げの順に分けます。「配管工事一式」だけでは、相フランジや支持金物を誰が手配するのか、足場や試験を含むのかが残らないためです。
| 区分 | 含める候補 | 確認すること |
|---|---|---|
| 材料 | 直管、継手、フランジ、バルブ | 支給品、予備率、運賃 |
| 加工 | 切断、開先、溶接、酸洗い | 工場・現場、検査範囲 |
| 取付 | 配管、機器接続、支持金物 | 高所・狭所・稼働設備 |
| 仮設 | 足場、揚重、養生、電源 | 元請支給か自社手配か |
| 試験・仕上げ | 耐圧、洗浄、塗装、保温 | 試験媒体、記録、復旧 |
IM単価は直管運搬・現場取付を含む。DB単価は開先加工・溶接を含む。管材、継手、支持金物、足場、塗装、保温、検査は別途とする。
見落としやすい費用
- 現地調査、施工図・要領書、写真・試験記録
- 荷下ろし、横持ち、揚重、夜間・休日・出張費
- 火気養生、監視人、換気、ガス測定などの安全対策
- 既設撤去、切替、仮配管、残水・残液処理、復旧
- フラッシング、耐圧試験、非破壊検査、酸洗い
- 端材、予備品、消耗品、廃材運搬・処分
小口径で短い工事でも、現場乗込み、養生、KY、試運転など一定の工数が発生します。少量工事では最低施工費や一式費用を検討します。
数量変更へ対応できる見積にする
「配管工事一式」だけでは、設計変更時に増減根拠を説明できません。口径・材質・施工区分ごとにIMとDBを記載し、単価と金額を分けます。変更後は増減数量へ同じ単価を適用できるため、協議がしやすくなります。
| 区分 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| SGP 工場製作 | 80IM | 設定単価 | 数量×単価 |
| SGP 現場取付 | 40IM | 設定単価 | 数量×単価 |
| 溶接施工 | 80DB | 設定単価 | 数量×単価 |
| 足場・揚重等 | 一式 | 積上げ | 別途算定 |
見積条件へ必ず書くこと
- 単価に含む材料・加工・運搬・取付の範囲
- 継手、フランジ、バルブ、支持金物の扱い
- 足場、揚重、塗装、保温、検査の扱い
- 工場溶接と現場溶接の区分
- 数量精算の有無と変更時の単価適用方法
- 消費税、諸経費、法定福利費の扱い
IM・DBの基本はインチメーター・インチダイヤの基本、継手の溶接口数は継手別DBの数え方で確認できます。
提出前に照合する
支給品と購入品、工場施工と現場施工、含む項目と別途項目が対になっているかを確認します。最後に、見積有効期限、工期条件、消費税、法定福利費、数量精算の方法を記載すると、変更時の協議資料として使いやすくなります。
実際の数量例は100A配管更新工事のIM・DB・概算見積で確認できます。
まとめ
配管見積では、配管長に関するIMと溶接量に関するDBを分け、材質・肉厚・施工場所・品質条件に応じて単価を設定します。周辺工事と固定費を別途積み上げ、見積条件を明記することで、変更時にも説明できる見積になります。
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