WATER TREATMENT GUIDE
SRTとHRTの違いとは?計算方法と活性汚泥管理での使い方
HRTは水が槽内に滞留する時間、SRTは汚泥が処理系内に保持される時間です。名前は似ていますが、計算に使う数値も運転への影響も異なります。
SRTとHRTの違い
水が処理槽内に滞留する平均時間
SRT(汚泥滞留時間)活性汚泥が処理系内に保持される平均日数
HRTは主に槽容量と流入量で決まり、SRTは汚泥保有量と系外へ出る汚泥量で決まります。返送汚泥によって微生物を系内へ戻すため、一般にSRTはHRTより長くなります。
HRTの基本式
有効槽容量(m³)÷ 1日平均流量(m³/日)
有効槽容量500m³、流量250m³/日なら、HRTは2日、時間に直すと48時間です。時間で求める場合は、流量の単位をm³/hにそろえます。
実際の槽内には短絡流、死水域、返流水などがあるため、計算上のHRTと実際の反応時間が完全に一致するとは限りません。
SRTの基本式
処理系内の汚泥量(kg)÷ 1日に系外へ出る汚泥量(kg/日)
簡易計算では、曝気槽内の汚泥量を「槽容量×MLSS」、引抜汚泥量を「余剰汚泥量×引抜汚泥濃度」で求めます。厳密には沈殿池などの保有汚泥と、処理水SSとして流出する固形物も考慮します。
500m³ × MLSS 3,000mg/L = 汚泥保有量1,500kg
余剰汚泥30m³/日 × 8,000mg/L = 引抜汚泥240kg/日
1,500kg ÷ 240kg/日 = SRT 約6.3日
SRTが短すぎる場合
- 増殖の遅い微生物を保持しにくくなる
- 硝化が不安定になる可能性がある
- MLSSが低下し、有機物負荷に対する余裕が小さくなる
- 余剰汚泥の引抜き過多が原因の場合がある
SRTが長すぎる場合
- MLSSが高くなり、必要酸素量や撹拌負荷が増える
- 汚泥が解体・微細化し、上澄みの濁りにつながる場合がある
- 沈降性や脱水性が変化する
- 余剰汚泥の引抜き不足が原因の場合がある
SRTを変える操作は、主に余剰汚泥引抜量の調整です。急激に変更せず、MLSS、SV30、SVI、処理水質、DO、汚泥の顕微鏡観察などを見ながら段階的に調整します。
HRTが短くなる主な場面
雨水や工程排水の増加で流量が上がると、槽容量が同じでもHRTは短くなります。反応時間不足だけでなく、沈殿池の水面積負荷上昇や汚泥流出にも注意します。
現場で一緒に確認する数値
- 日平均流量・時間最大流量
- 有効槽容量と各槽の運転水位
- MLSSと汚泥保有量
- 余剰汚泥量・引抜汚泥濃度
- 処理水SSと汚泥流出量
- DO、pH、水温、BOD・アンモニア性窒素
水処理計算では、槽容量と流量からHRTを計算できます。
まとめ
HRTは水の反応時間、SRTは微生物を保持する日数です。HRTは流量変動、SRTは汚泥引抜きの影響を強く受けます。どちらも単独の数値で判断せず、処理水質と汚泥状態の推移を合わせて確認します。
管理値や操作条件は施設ごとに異なります。実際の運転操作は、設計条件・維持管理基準・測定結果・責任者の判断を優先してください。