WATER TREATMENT GUIDE
アンモニア性窒素が下がらない原因|硝化不良の確認手順
硝化不良は、酸素不足だけでなく、低水温、pH・アルカリ度不足、短いSRT、急な負荷増加、阻害物質でも起こります。一度に操作を変えず、原因を順番に切り分けます。
最初に「濃度」と「負荷量」を分けて考える
処理水のアンモニア性窒素濃度が上がったら、流入濃度だけでなく流量も確認します。同じ50mg/Lでも、流量が100m³/日なら5kg/日、200m³/日なら10kg/日の負荷になります。
流量(m³/日)× 濃度(mg/L)÷ 1,000
流入負荷と処理水濃度を同じ時系列で並べると、「負荷が増えた」のか「処理能力が落ちた」のかを判断しやすくなります。
硝化不良の主な原因
| 確認項目 | 起きていること | 現場で見るデータ |
|---|---|---|
| DO不足 | 硝化に使える酸素が足りない | 槽内各点のDO、ブロワ圧力、気泡分布 |
| 低水温 | 硝化菌の反応・増殖が遅い | 水温、冬季の過去値、SRT |
| pH・アルカリ度不足 | 硝化反応でアルカリ度が消費される | 流入・槽内・処理水のpHとアルカリ度 |
| SRT不足 | 増殖の遅い硝化菌が系外へ出る | 余剰汚泥量、MLSS、返送汚泥濃度 |
| 負荷増加 | 必要酸素量が供給能力を超える | 流量、BOD、アンモニア負荷 |
| 阻害物質 | 薬品などが微生物活性を低下させる | 工程変更、薬品使用、pH・電気伝導率 |
現場での確認順
- 採水位置、採水時刻、分析方法が通常どおりか確認する
- 曝気槽の入口・中間・末端でDOを比較する
- 水温、pH、アルカリ度の推移を見る
- 流入量と濃度からアンモニア負荷量を計算する
- MLSS、余剰汚泥量、返送汚泥量からSRTの変化を確認する
- ブロワ、配管、散気装置の異常と気泡分布を確認する
- 製造工程、薬品、返流水などの変更履歴を聞き取る
DO不足を確認するときの注意
DO計1点だけで判断すると、槽内の偏りを見落とします。携帯計があれば複数点・複数深さで比較し、センサー汚れや校正ずれも除外します。風量を上げても改善しない場合は、散気装置の閉塞や負荷増加を確認します。
詳しい設備確認は曝気槽のDOが上がらない原因を参照してください。
SRT不足を確認する
硝化菌は有機物を分解する微生物より増殖が遅く、特に低水温時は必要なSRTが長くなります。余剰汚泥を増やした直後、汚泥流出後、MLSSが急低下した後は、硝化菌量が不足している可能性があります。
ただし、MLSSを上げれば必ず改善するわけではありません。高すぎるMLSSは酸素不足や沈殿槽の固形物負荷増加につながるため、MLSSとSRTを合わせて確認します。
操作を変更するときの記録
- 変更前後の時刻、ブロワ周波数、風量または圧力
- 余剰汚泥・返送汚泥の流量と運転時間
- DO、pH、水温、MLSS、アンモニア性窒素
- 流入量と工程・薬品使用の変化
生物処理は操作後すぐ結果が出ないことがあります。一度に複数条件を大きく変えると原因が分からなくなるため、施設の基準内で段階的に変更します。
よくある質問
DOが高ければ硝化は必ず進みますか?
必ずしも進みません。水温、pH、アルカリ度、SRT、阻害物質、硝化菌量なども影響します。DOだけを上げ続けず、他の条件を同時に確認します。
冬だけアンモニアが残るのはなぜですか?
低水温では硝化菌の増殖と反応が遅くなります。必要なSRTが長くなるため、余剰汚泥の引き抜き量や過去の冬季データを確認します。
急に悪化したとき、最初に何を見ますか?
採水・分析の誤差を除外したうえで、DO、pH、水温、流入量、アンモニア負荷、ブロワ運転、薬品や高濃度排水の流入履歴を確認します。
まとめ
アンモニア性窒素が下がらないときは、「測定→DO→水温→pH・アルカリ度→負荷→SRT→阻害物質」の順で確認します。濃度だけでなくkg/日の負荷量と時系列の変化を見ることが、原因の切り分けにつながります。
管理値や操作条件は施設ごとに異なります。実際の運転操作は、設計条件・維持管理基準・測定結果・責任者の判断を優先してください。